ここでは、新潟県六日町で構想中の「らん」を中心としたファラワーパークの動員予測をしたときの報告レポートをご紹介いたします。
重相関モデル式を用いた手法をとっていますので、興味のある方は是非ご覧下さい。





(1)推計手法

全国の主要な植物園の動員実績と敷地規模および90分圏域の市場規模、周辺宿泊観光客数間における重相関分析から回帰モデル式を作成し、これに計画地の敷地規模および90分圏域の市場規模、周辺宿泊観光客数を代入して計画施設の動員数を推計した。

ただし、計画施設は「らん」に特化した施設であるため同モデル式でやはり「らん」に特化した「らんの里堂ケ島」の動員数を推計し、実際の動員数と推計値とのかい離率を「らん」の吸引インパクト係数として計画施設の推計動員数を補正した。

具体的には、まず、全国の主要な植物園の敷地1㎡当りの動員数(y)と敷地規模(T)および90分圏域の市場規模(S)、周辺宿泊観光客数(P)間における重相関分析から敷地1㎡当りの動員数を推計する回帰モデル式を作成し、それから計画地における敷地1㎡当りの動員数を推計する。次にその推計値に計画地の敷地規模を乗じて計画地における動員数を算出し、さらに上述の「らんの里堂ケ島」のデータによる「らん」のインパクト係数を乗じて「らん」に特化した計画施設の動員数を推計した。

なお、重相関分析の結果、敷地1㎡当りの動員数と敷地規模間は反比例の関係にあることが分かった。これは、敷地規模が大きいと敷地に対する施設密度が低くなるためであり、自然公園系の施設ではよくみられる傾向である。


<推計フロー>

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(2)重相関回帰モデル式の作成
全国の主要な植物園の敷地1㎡当りの動員数(y)と敷地規模(T)および90分圏域の市場規模(S)、周辺宿泊観光客数(P)間における重相関分析から敷地1㎡当りの動員数を推計する回帰モデル式を作成した。結果は以下のとおりである。Rは重相関係数といわれ、この値が1に近い程その回帰モデル式の信頼度が高くなる。R=0.8439はこの種の重相関分析では一応信頼できる回帰モデル式といえよう。

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(3)「らん」の吸引インパクト係数の算定

次に、前述のとおり計画施設は「らん」に特化した施設であることから、一般の植物園より吸引力が高いため、その分の吸引インパクトを考慮する必要がある。ここでは、やはり「らん」に特化した施設であり、計画地と同様に周辺の市場規模(常住人口)は小さいが周辺の観光客数が多い「らんの里堂ケ島」の吸引インパクトを算定し、それを「らん」の吸引インパクト係数とする。

前項の回帰モデル式に「らんの里堂ケ島」の敷地規模(T)および90分圏域の市場規模(S)、周辺宿泊観光客数(P)を代入すると、敷地1㎡当りの動員数(y)は3.8人/㎡となり、推計動員数は517千人となる。

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実際の「らんの里堂ケ島」の動員数は622千人と推計動員数の約1.2倍となっている。この比率を「らん」の吸引インパクト係数とする。


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(4)計画施設の動員数の推計

計画地の敷地規模は約70,000坪ということで、ここではT=230,000㎡とする。計画地から車利用で90分圏域の市場規模は前述のとおり797千人であるからS=797千人とする。さらに、周辺の宿泊観光客数は新潟県が日帰り・宿泊別に観光統計をとっていないため、六日町を含む魚沼・東頸城地域の県外客数とする。ただし、この地域の県外客の約7割が計画施設の潜在顧客となりえないスキー客であることから、同地域のスキー客以外の県外客数3,956千人を周辺の宿泊観光客数(P)とした。

前項で得られた回帰モデル式に上記の計画地の敷地規模(T)および90分圏域の市場規模(S)、周辺宿泊観光客数(P)を代入すると、敷地1㎡当りの動員数(y)は人/㎡となり、推計動員数は525千人となる。

 

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この推計値に前述の「らん」の吸引インパクト係数を乗じると計画施設の動員数は633千人と推計される。この推計結果は計画地の敷地規模が大きく影響しており、約7万坪という広大な敷地にそれに見合った施設開発をするということが前提になっている。

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