ここでは、ハフモデルを用いた商業施設の動員予測、売上予測の手法をご紹介いたします。
ハフモデルはよく大型店の出店調整のときに周辺商業者への影響度合を算定する場合に用いられていましたが、周辺商業施設の集客実態等のデータと合わせ、使いようによっては、新規商業施設の集客、売上予測に有効です。
新規商業施設の出店あるいはリニューアル計画などで集客、売上予測にたずさわれる方は是非、ご覧ください。


(1)ハフモデルの概要
(2)ハフモデルを用いた吸引率の算定方法
(3)新規商業施設の集客数、売上への応用方法

(1)ハフモデルの概要

ハフモデルはダビッド・L・ハフとライリー・ブルーが都市部に点在するショッピングセンター(SC)間の勢力圏設定に必要な集客吸引率算定のために考案した、確立モデルである。
基本的な考え方は「ある地区に対するSCの吸引力は地区とSC間の距離に反比例し、SCの規模に比例する。」で、この場合におけるSCの規模はSCの魅力度を代表している。

 


上記の式の中のλは距離抵抗係数といわれ、商品によって異なり、最寄り品では大きくなり、買回り品では小さくなる。つまり、消費者は最寄り品は、出来るだけ近い商業施設で買い物をしたがり、買回り品はある程度遠くても品揃えの良い商業施設で買い物をするという特性を表現する係数である。一般的に、λは最寄り品で2.0、買回り品で1.5と言われている。距離を時間距離とするのは、物理的な距離はハフモデルが考案された当時と現在ではその後のモータリゼーションの影響で距離そのものに対する抵抗感が全く異なるためである。
 

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(2)ハフモデルを用いた吸引率の算定方法

下図に示したような例で、地区iに対するSCjの買回り品の吸引率(Pij)をλ=1.5として算定すると以下のようになる。

 


上記の算定結果でもわかるように、ある地区のSCへの吸引率の合計(例えば、ここではP11とP12の合計)は必ず1.00(100%)になります。
これは、ハフモデルがある地区の住人があるSCへ出向する確立を算定するためで、エリア内すべてのSCへの出向確立を合計すると当然100%になるわけである。
このことからわかるように、ハフモデルではエリア内の購買力がどのようにエリア内のSCに配分されるかを算定するものなのです。
従って、新しいSCが出来ると、既存のSCの獲得する購買力がその分減少することになり、そのため、既存の商業施設への影響の度合いを算定するのに非常に有効であったわけです。
 

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(3)新規商業施設の集客数、売上への応用方法

(2)で述べたように、このモデルを用いた集客数、売上の推計結果はエリア内の総購買力自体は基本的に変化せず、つまり、新規の商業施設による購買力の増加を期待しない、かなり、固めの推計結果となります。ただ、計画する商業施設の立地点や施設規模の持つ基本的なポテンシャルを定量的に把握する手段としてはかなり有効であると考えられます。
具体的には、まず、当該エリア内で計画商業施設に規模や立地環境で最も参考になる施設の集客数、売上を調査します。
次に、計画施設を含まない状態で、当該エリア内の各地区と各商業施設間でハフモデルにより、その参考施設の各地区からの吸引確率を算定します。さらに、得られた吸引確率に各地区の人口を乗じ、その合計値を求めます。これを算定上出てくる、集客ポテンシャルとします。
例えば、(2)の事例で、参考施設がSC1で、地区1、地区2、地区3の各人口が10,000人、20,000人、30,000人のとき、参考施設であるSC1の集客ポテンシャルは以下のように算定されます。

 



さて、下図のように新規の商業施設(SC3)が15,000㎡で計画されているとします。



さて、下図のように新規の商業施設(SC3)が15,000㎡で計画されているとします。


この場合のSC3の各地区からの吸引確率と集客ポテンシャルは下記のように算定されます。



 

ちなみに、この新規の商業施設がオープンした後の参考施設(SC1)の集客ポテンシャルは従前の38,723から13,356へと66%も減少します。

計画商業施設においても、規模は参考施設(SC1)の10,000㎡より大きい15,000㎡であるが、従前のSC1の集客ポテンシャル38,723より小さい34,032となる。このことは、従前のSC1よりも計画商業施設の売り場効率がかなり悪いことを意味します。
事前の調査による参考施設(SC1)の年間集客数が300万人、売上が75億円とした場合、計画商業施設(SC3)の年間集客数、売上は以下のように算定される。

  年間集客数=300万人×(34,032/38,732)=264万人
  売   上= 75億円×(34,032/38,732)= 66億円

また、現状の参考施設(SC1)の売り場効率62,500円/月・㎡に比べ計画商業施設の売り場効率は36,667円/月・㎡となり、かなり、苦しい展開を予想せざるを得ない。
このケースではエリア内の市場に対して、進出規模が大きすぎたか、もしくは新たに大型店の出店が無理なエリアであったといえよう。
例えば、パワーセンターのようにものすごく大きな規模にして、商圏エリアを拡大して、再検討する必要があろうかと思われる。
いづれにしても、以上がハフモデルを用いた商業施設の集客数、売上の予測方法です。参考になりましたか?


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