ここでは、既存の統計データを元にしたスキー場の動員予測手法を事例を元にご紹介いたします。
ここで紹介する事例は首都圏、東海、近畿の各都市圏からの集客が期待できるところ(長野県や新潟県など)で計画されている新規スキー場の集客予測ですが、既存のスキー場に追加投資をした場合のリニューアルスキー場の集客予測にも充分対応できる予測手法です。
スキー場の計画にたずさわれている方は是非ご覧ください。


(1)予測手法
(2)具体的な推計モデル式の作成方法
(3)具体的な集客予測方法

1.予測手法

スキー場の集客についてはその誘致圏が大きいこともあり、立地環境(市場的および気候的)や施設規模、周辺の宿泊収容力など様々な要因があります。まず、それらの要因をあげてみます。

(1)スキー場の集客の要因

 ●市場的な立地環境要因(大都市圏からの距離的要因)

  ・時間距離(鉄道)、(道路)
  ・交通費 (鉄道)、(道路)
  ・直線距離(距離的なイメージ)

 ●気候的な立地環境要因

  ・営業日数

 ●周辺立地環境要因

  ・スキー場周辺の宿泊施設の収容人員

 ●スキー場の規模的要因

  ・リフト基数 (乙+丙)
  ・コース数
  ・リフトの総延長 (乙+丙)
  ・駐車場台数

(2)スキー場の集客予測手法

上記のように、様々な要因を具体的に推計結果に反映させるために、以下のような推計モデルを考えてみました。やはり、集客において、営業日数は絶対的な要因であるため、これを最大限に反映する必要があります。そのため、このモデル式では求める目的変数を営業日数1日当りの集客数としました。また、集客数自体の統計のとり方が各スキー場でまちまちであることから、集客数ではなく、策動協会の輸送実績をベースにしました。つまり、推計モデル式の目的変数はスキー場の営業日数1日当りのリフト輸送人員とするのです。以上のことを考慮した結果、以下のような推計モデル式を作りました。

つまり、周辺事例スキー場の統計データをもとに以下の推計モデル式で重相関分析を行い、これに計画スキー場の該当データを当てはめ、計画スキー場の営業日数1日当りのリフト輸送人員を推計します。次に、周辺スキー場の一般的な1人1日当りリフト利用回数で営業日数1日当りのリフト輸送人員を割り、営業日数を乗じたものを計画スキー場の年間集客数とします。

次項で詳しく述べますが、ゲレンデの規模や距離抵抗要因には複数の要因が含まれるため、複数の重相関回帰式が得られます。ここでは、複数の重相関回帰式から求められた年間集客数の平均値を最終的な予測集客数に採用しました。

    y=k・(Sa・Zb・Pc)/Td

    Y=(y/n)・D

      ・y:営業日数1日当りのリフト輸送人員
      ・S:ゲレンデの規模(リフト基数、コース数、リフト総延長)
      ・Z:周辺の宿泊施設の収容人員
      ・P:駐車場台数
      ・T:距離抵抗要因(時間距離(道路、鉄道)、交通費、直線距離)
      ・k,a,b,c,d:重相関分析の結果、得られる偏相関係数
      ・Y:年間集客数
      ・n:周辺スキー場の1人1日当りリフト利用回数
      ・D:営業日数


 


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2.具体的な推計モデル式の作成方法

(1)事例施設の実績データの収集、整理

推計モデルは重相関モデルであるため、重相関分析をするために、10~20程度の事例施設の実績データを収集、整理する必要があります。下表はそのデータの事例です。距離抵抗要因には東京圏、名古屋圏、大阪圏からのデータがありますがこれを総合的に処理するため、実際に重相関分析で用いたのは各圏域の市場規模から東京圏3、名古屋圏1、大阪圏2のウェイトを以って、計算された加重平均値としました。

   加重平均値=(東京圏×3+名古屋圏×1+大阪圏×2)/(3+1+2)

 


(2)具体的な重相関分析の方法
これらのデータを元に重相関分析を行うわけですが、ゲレンデの規模の要因が3、距離抵抗要因が4あるため、重相関回帰式は12種類出てくることになります。
この重相関モデルは指数の形をとっていますが、各データの対数値を対象に重相関分析を行えば、普通の重相関として処理できます。


y=k・(Sa・Zb・Pc)/Td

log(y)=log(k)+(a・log(S)+b・log(Z)+c・log(P))-d・log(T)
このような変換したデータで重相関分析を行うと、偏回帰係数として、log(k),a,b,c,dが得られます。このうち元の指数の形に戻すには定数項のlog(k)は10^log(k)に戻す必要があります。

 

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3.具体的な集客予測方法

2.で述べたような方法で12種類の重相関分析を実施、各回帰式の偏回帰係数を求め、その回帰式に計画スキー場の条件値を代入すると、まず、営業日1日当りのリフト利用人数が算定されます。その営業日1日当りのリフト利用人数を平均的な1人1日当りリフト利用回数で除して、それに営業日数を乗じたものが計画スキー場の年間集客数となります。なお、平均的な1人1日当りリフト利用回数はそのエリアで計画しているスキー場に最も類似したスキー場の策動実績と年間集客数から計算されたものを利用した方がよいでしょう。
前述したように、今回は推計結果は12種類出てきますので、出てきた結果の平均値を採用し、この計画スキー場の年間集客数は33万人と推計されました。

 




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