既存のオープンデータがない場合などはアンケート調査を実施して、マーケットの情報を把握する必要があります。アンケートも一見、簡単なようですが、いろいろな手法や手順があります。
 まず、アンケート調査には国勢調査などのような対象全部から標本を取る全件調査(センサス調査)とサンプルを抽出して調査するサンプル調査があります。
 前者は大規模な調査で人口などの絶対量を把握したい場合には必ず実施する必要がありますが、膨大な人手と期間、予算が必要となります。
 後者は家計消費支出などを調査する家計調査やTVなどの視聴率の調査などが有名ですが、抽出したサンプルの回答割合が対象市場全体の割合になるよう標本を抽出する必要があります。
 アンケートをする対象や設問内容によって、回収手法を考える必要がありますし、集計の方法も様々です。
 そんなわけで、今回はアンケートの回収手法や集計方法を紹介したいと思います。
 アンケート調査に興味のある方は、是非、ご覧ください。


 

1 アンケートの回収手法

アンケートはその対象や設問内容によってその回収手法を変える必要があります。代表的なアンケートの回収手法としては以下のようなものがあります。

(1) 訪問面接留め置き・聞き取り調査
  代表的なものに国勢調査があります。係りの人が1軒1軒各家庭を訪問し、調査用紙を配布し、後日回収するのが留め置き調査です。これに対し、訪問したときに回答を聞き取り、その場で回答を記入するのが聞き取り調査です。住宅需要調査などではよくやる手法です。
この調査で大事なのは、国勢調査のように全国規模の調査でない場合は事前に調査する対象エリアをしっかり決定しておくことです。そうでないと無駄な経費が掛ることになるからです。
(2) 訪問者・来場者に対する留め置き・聞き取り調査
  一定の場所または施設に来場した人を対象に実施するアンケートです。この方法における留め置きでよくみられるのは飲食施設などでテーブルに回答用紙を設置して回答を出口などで回収するやり方です。
また、商業施設やテーマパークなどでは入り口で配布し、出口で回収するのが一般的です。
街角や駅構内でガバンに回答用紙を乗せて、来街者に直接設問し、その場で答えを聞き取るのがこの場合の聞き取り調査です。
この方法の一番いい点は回収がその場でできる点ですが、欠点もあります。まず、曜日や天候などに大きく左右され、ひどいときは目標の1割も回収できないことがあります。
また、曜日によって来場するひとの層が全く違う場合が多いので、普通は平日、休日の2回調査を実施します。
(3) 電話・FAX調査
  しっかりした電話・FAX番号リストがあり、設問内容が比較的少ない場合は調査実施の期間が短いためかなり有効な方法です。しかし、複雑な設問には不向きです。
特に電話の場合は対象とする相手が留守だったり、相手の状況がわからないので時として相手に不愉快な思いをさせてしまいがちです。
このあとのメールサーベのところでも述べますが、電話による調査は電話調査単体よりむしろ、メールやFAXによる調査のプレ調査としてはかなり有効です。特にメールサーベの場合はその回収率が低いので、事前に電話で相手に調査依頼の合意を取っていると回収率は数倍よくなることが経験上わかっています。
最近では、プッシュ回線で答えを入力させ、その場で集計結果を発表するなどTVやラジオでこの電話調査がよく用いられています。
(4) メールサーベ(郵送など)
  最もポピュラーなアンケート手法です。細かな資料やビジュアルな資料も同封できますので、設問内容もかなり突っ込んだ内容まで入れることができます。また、自由回答が多い場合には最も適した調査方法でしょう。
情報量としては最も有効な手段ですが、発送してから回収するまでの期間が長いため急ぐ調査には不向きです。しかし、何といってもその回収率の低さが最も問題です。普通、発送して一定期間を経ると、はがきなどで督促状を出して、何とかその回収を図ろうとします。そういった意味でも、期間、費用、手間の掛る調査方法といえます。しかし、得られる情報の量や質では他の調査に比べずば抜けています。
前述したように、事前に電話で調査依頼をすると、回収率は7割前後確保できますし、発送数もそれほど多くは必要ありません。また、事前の調査において回答者の属性をコントロールできるという利点もあります。この電話+メールという組み合わせは非常に有効ですが、実はプレの電話調査の方が費用が掛ることが多いようです。
(5) インターネット・パソコン通信を利用した調査
  インターネットの急速な普及によりこの調査方法はかなり増えるものと思われます。
以前、家庭にパソコンを持っている人を対象としたアンケート調査をやったことがあるのですが、そのときは、まだ、パソコンの普及率も低かったため、前述した電話+メールの手法を採っても、電話調査の時点でかなり、無駄打ちが多いことが予想され、途方に暮れたことがあります。
そのとき、初めて、PC-VANというパソコン通信を利用した調査を実施しました。
PC-VANの事務局の人に依頼して、一定回答数を得るまで掲示板のようなところに掲載してもらい回答を回収したのですが、結構、費用も安く、期間も短かったことを記憶しています。
特にインターネットはビジュアルな資料も提示できるし、今後、その普及も見込まれることから、かなり、有効な手段として期待されています。
 


2 アンケートの集計方法

アンケートの設問のタイプは以下の4種類に分類されます。また基本的には設問タイプはこの4種類しかありません。
  ◆単数回答(S.A)
◆複数回答(M.A)
◆数量回答(Numeric)
◆自由回答(F.AまたはO.A)
(1) 単数回答(S.A)タイプの集計
  選択枝の中から、一つだけ回答する形式の設問です。集計カテゴリー数は選択枝の数に不明(N.A)を加えた数になります。
一般的に各カテゴリーの回答者数の合計がサンプル数となります。後で述べますが、数量回答タイプも最終的に一度このタイプに変換して集計することになります。
このタイプの集計結果を表現するグラフとしては帯グラフや円グラフがよく用いられます。
(2) 複数回答(M.A)タイプの集計
  選択枝の中から、複数の回答ができる形式の設問です。集計カテゴリー数はやはり選択枝の数に不明(N.A)を加えた数になります。
各カテゴリーの回答者数の合計はサンプル数となりませんので集計の時に注意が必要です。後で述べますが、自由回答タイプもカテゴリー化したあと最終的に一度このタイプに変換して集計することになります。
このタイプの集計結果を表現するグラフとしては棒グラフがよく用いられます。
(3) 数量回答(Numeric)タイプの集計
  回答欄に数値を書き入れる形式の設問です。集計に当たってはまず、回答された数値を大きい順や小さい順に並び替え(Sort)します。それから、その回答数を見ながら適当に該当する数値の範囲を決めて、S.Aタイプにカテゴリー化します。後はS.Aタイプの集計と同様ですが一般的に最後に平均値を添えます。
このタイプの集計結果を表現するグラフとしては帯グラフや円グラフがよく用いられます。
(4) 自由回答(F.AまたはO.A)タイプの集計
  回答者に思ったことを書いてもらう形式の設問です。回答数があまり多くないときは敢えて集計する必要もないでしょう。
実はこの形式の設問が多いのはアンケートを実施する側がどのような回答が返ってくるのか予想がつかない場合や事前の準備が足りないときが多いようです。
その代わり、集計はすごくやっかいなのです。できるだけ、この形式の設問は少なくしたいものです。回答者も書くのに時間が掛るのでいやがるようです。
集計は前述したように最終的にはM.Aタイプにカテゴリー化するのです。まず、回答内容をよく似たアイテム毎に分類します。この際、1行の文章でも複数の要素が含まれている場合は複数に分類します。すべてのアイテムがでたら、さらに、アイテムを絞り込んで適当な数のカテゴリーに再分類します。その上で元の回答にカテゴリー番号を振っていくのです。これをアフターコーディングと呼んでいます。実はこれは非常に面倒くさく、また、作業者に文章の読解力の能力を要求されます。
事前の準備が不足するとこういう羽目にあいます。気を付けましょう。
 

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